【実践編】分野別検算:整数
今回のテーマは「整数」です!
整数問題はなかなか取っ掛かりがつかみづらいときもあり、得手不得手が別れる分野だと思います。
また整数問題は、特徴的な検算方法もあるのでぜひ習得していってください!それでは実際に入試問題を通して、整数問題に慣れていきましょう!
問題
(1) \(x^2-y^2=2009\)をみたす正の整数\(x,y\)の組を全て求めよ。
(09 横浜国大-後)
(2) \(x^2+y^2=41\)をみたす正の整数\(x,y\)の組を全て求めよ。
(3) 式\((ac-bd)^2+(ad+bc)^2\)を因数分解せよ。
(4) \(n\)を正の整数とする。\(x^2+y^2=2009^n\)をみたす正の整数\(x,y\)が存在することを示せ。
整数問題の方針
整数問題の特徴には、素因数分解と相性のいい積の形が扱いやすいことがあります。
方針としては、以下のものが考えられます。
・積の形にして素因数分解を狙う
・剰余(mod)で考える
・数え上げ
解答
(1)
(1) 左辺を積の形に変形してあげることで、素因数の振り分けに持ち込むことができます。
今回は積が正なので\(x+y,x-y\)は正負が一致します。(今回は関係ありませんが、\(x+y,x-y\)は偶奇が一致します。)
与式は\((x-y)(x+y)=7・7・41\)と変形できるので、\(\color{red}{x+y>x-y>0}\)に注意すると、$$ (x-y,x+y)=(1,2009),(7,287),(41,49)$$ $$ \Leftrightarrow (x,y)=(505,504),(147,140),(45,4)$$
【検算】ここは軽く済ませてしまいますが、解答でも登場している\(\color{red}{x>y}\)は、「\(x^2-y^2\color{red}{>0}\)だから大小関係は明らかだよね」という常識的検算でさっとチェックしてしまいましょう。念には念を、という方なら追加で「左辺と右辺の1の位の一致を確認する」のもいいですね!
(2)
(2) ここは数え上げで解けそうですね。
\(41\)より小さい平方数\(1,4,9,16,25\)のうち、和が41になる2つ(重複許す)は\(\color{red}{16,25}\)である。したがって、求める組は\((x,y)=(4,5),(5,4)\)である。
【注意】意外と間違えやすいですが、ここでは\(x,y\)に大小関係はないので、2通りの組み合わせが考えられますね。もしこの事実を問題を解く前や途中に気づいたなら、忘れないうちにどこか(解答用紙など)にメモするのは非常に有効な手段です。
余談ですが、筆者は見落としそうだなと思った箇所は解答用紙に書き込み(例:「\(x,y\)入れ替えも!」)、解答時に消すことで入念に対策したこともあります^^
(3)
(3) ここまではそこまで難しくなさそうな問題なので、(4)に向けた誘導と考えても不自然ではありませんね。特に何も思い浮かばないので素直に計算しますが、\(\color{red}{abcd}\)の項が打ち消し合うことまで見通してから計算を始めたらバッチリですね!
$$ (与式)=(a^2c^2\color{blue}{-2abcd}+b^2d^2)+(a^2d^2\color{red}{+2abcd}+b^2c^2)$$ $$ =a^2c^2+a^2d^2+b^2c^2+b^2d^2$$ $$ =(a^2+b^2)(c^2+d^2)$$
【検算】せっかくなので\(a=b=c=d=1\)を代入して逆算による検算をしてみましょう!両辺\(4\)で問題なさそうですね。
(4)
(4) 単独では解くのが難しそうなので、(1)〜(3)までの誘導を総動員して解きます。
さらに、一般の\(n\)について考えるのは難しいと思ったら、数学的帰納法を検討してみる価値はあります!
以下、題意をnについての数学的帰納法により示す。 \(n=1\)のときは、式の形から(2)が利用できないか考えます。
\((i)\)\(n=1 \)のとき、(2)で\(\color{red}{x^2+y^2=49}\)をみたす\(\color{red}{(x,y)}\)に対し、\((7x)^2+(7y)^2=41・49=2009\) となる。
したがって、例えば\((x_1,y_1)=(35,28)\)とすれば\(x_1^2+y_1^2=2009^1\)が成り立つ。
\((ii)\)\(n=k\)(\(k\)は正の整数)のとき、題意が成り立つと仮定すると、
【仮定】:\(\color{blue}{x^2+y^2=2009^k}\)をみたす\(\color{blue}{x_k,y_k} \)が存在する
このとき\(\color{red}{(i)}\)と【仮定】より、$$ (x_1^2+y_1^2)(x_k^2+y_k^2)=2009・2009^k=2009^{k+1}$$ さらに(3)より、$$ (x_1^2+y_1^2)(x_k^2+y_k^2)= (x_1x_k-y_1y_k)^2+(x_1y_k+y_1x_k)^2$$ したがって、$$(x_1x_k-y_1y_k)^2+(x_1y_k+y_1x_k)^2=2009^{k+1} $$ つまり、\(\color{red}{(x_{k+1},y_{k+1})=(x_1x_k-y_1y_k,x_1y_k+y_1x_k)}\)と改めておくことで、\(1≦y_k≦x_k\)として考えると\(35x_k-28y_k>0\)から\(x_{k+1},y_{k+1}\)は正の整数であり、$$ x_{k+1}^2+y_{k+1}^2=2009^{k+1}$$をみたす。以上より、\(n=k+1\)のときも題意が成り立つ。
\((i),(ii)\)より、題意は示された。
【注意】新たにおいた数\(x_{k+1},y_{k+1}\)が正の整数であることの説明が必要です(\(x_{k+1}\)の方は正負が非自明です)。
検算
本問で用いた検算方法の多くは、常識的な検算の部類に入ります。
実際、整数問題では正負・大小・偶奇・〇〇の倍数・1の位などに注意して解答していかねばなりません。以下の記事で簡単に解説しているのでまだモノにしていない方はぜひ!
まとめ:誘導に乗る!
いかがでしたか?本問の全体の構成をまとめると、
(1) :2009の素因数分解
(2) :(4)\((i)\)の場合の解までの誘導
(3):(4)\((ii)\)の数学的帰納法をまわす(\(n=k \Rightarrow k+1\))ための因数分解手法の誘導
という綺麗な誘導になっています。
この問題が解けた方は、作問者の誘導に乗るのがとても上手ですので、自信を持ってください!うまく乗れなかった方も、この記事から誘導の乗り方のヒントを少しでも吸収して今後の誘導問題に活かして頂けたら幸いです。


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