【第1回東大実戦】文系第3問・理系第5問:三角関数
2020年東大実戦の文理共通問題で三角関数の証明問題が登場しました。
本問では、次のような分野の能力が問われたように思います。
・数列:3項からなる等差数列の性質
・三角関数:三角関数の公式・性質が適切に使えたか
・式と証明:示すべき式が簡単でない場合は「歩み寄る」
難易度、所感はこちら↓
それでは問題の方をみてみましょう!
問題
鋭角三角形ABCがある。数列 $$ \frac{1}{\tan A}, \frac{1}{\tan B}, \frac{1}{\tan C} $$ が等差数列であるとき、3辺の長さの平方がなす数列 \( {BC}^2, {CA}^2, {AB}^2 \) も等差数列であることを示せ。
方針
毎度のことですが、問題文を式に変換しないことには始まりません。
そこで、
【前提の式】\( \frac{1}{\tan A}, \frac{1}{\tan B}, \frac{1}{\tan C} \)が等差数列 \(\Leftrightarrow \color{red}{\frac{2}{\tan B} = \frac{1}{\tan A}+ \frac{1}{\tan C}}\)
【示したい式】\( {BC}^2, {CA}^2, {AB}^2 \)が等差数列 \( \Leftrightarrow \color{red}{2{CA}^2 ={BC}^2 + {AB}^2} \)
解答②を選択した場合は【示したい式】があまりパッとしないので、【前提の式】とともに変形して行き、「歩み寄り」ながら式の一致を模索していきます。これは、【前提の式】をどのように変形していくか決めるにも重要です。
次のポイントをおさえながら解答していきましょう!
長さと三角関数はなるべく統一する
使えるもの:正弦定理、余弦定理など
解答①:長さに統一
タンジェントを長さに変換するには、正弦定理と余弦定理を両方使えばできます。
簡単のため、\( AB = c, BC = a, CA = b \)とおく。
正弦定理と余弦定理より、外接円の半径をRとすると $$ 2R = \frac{a}{\sin A}, \cos A = \frac{b^2 + c^2 – a^2}{2bc} $$ したがって、$$ \frac{1}{\tan A} = \frac{\cos A}{\sin A}= \color{red}{\frac{b^2 + c^2 – a^2}{abc} R}・・・[検] $$ 他の2つも同様に考えると、 $$ \frac{1}{\tan B} = \frac{a^2 + c^2 – b^2}{abc} R , \frac{1}{\tan C} = \frac{a^2 + b^2 – c^2}{abc} R $$ 以上より、$$ \frac{2}{\tan B} = \frac{1}{\tan A} + \frac{1}{\tan C} $$ $$ \Leftrightarrow \frac{2 (a^2 + c^2 – b^2)}{abc} R = \frac{b^2 + c^2 – a^2}{abc} R + \frac{a^2 + b^2 – c^2}{abc} R $$ $$ \Leftrightarrow 2(a^2 + c^2 – b^2) = 2 b^2 $$ $$ \Leftrightarrow a^2 + c^2 = 2 b^2 $$
つまり、\( {BC}^2 + {AB}^2 = 2・{CA}^2 \)が成り立つので、題意は示された。
検算:次元解析
三角関数は次元を持たない数なので、長さを用いて三角関数表しても当然無次元になるはずです。したがって、[検]マークの箇所では、分母、分子ともに長さの3乗で結果的に0次元になっていますね!
証明が終わるまでの式も全て同じように確かめることができます。(左辺も右辺も長さの2乗、といった感じで)
解答②:三角関数に統一
鋭角三角形ABCに対し、\( \color{red}{A+B+C= \pi }\)である。
まず正弦定理より、外接円の半径をRとすると、 $$ 2R = \frac{BC}{\sin A} = \frac{CA}{\sin B} = \frac{AB}{\sin C} $$
以上から、【示すべき式】は以下のように同値変形できる。
$$ 2{CA}^2 = {BC}^2 + {AB}^2 $$ $$ \Leftrightarrow 8R^2 \sin^2 {B} = 4R^2 \sin^2 {A} + 4R^2 \sin^2 {C} $$ $$ \Leftrightarrow 2 \sin^2 {\pi – A – C} =\color{red}{ 2 \sin^2 {A+C} } = \sin^2 {A} + \sin^2 {C} $$ $$ \Leftrightarrow 2 (\sin {A} \cos {C} + \cos {A} \sin {C} )^2 = \sin^2 {A} + \sin^2 {C} ・・・[1] $$
問題より得られる式は、次のように変形できる。 $$ \frac{2}{\tan{\pi – A – C}} = \frac{1}{\tan A} + \frac{1}{\tan C} $$ $$ \Leftrightarrow – \frac{2}{ \tan{A+C} } = \frac{1}{\tan A} + \frac{1}{\tan C} $$ ここで、加法定理により、\( \tan{A+C} = \frac{\tan{A} + \tan{C} }{ 1 – \tan{A} \tan{C} } \)であるので、引き続き、 $$ – \frac{2(1 – \tan A \tan C)}{\tan A + \tan C} = \frac{\tan A \tan C}{\tan A \tan C} $$
(もっと前から使ってもいいですが)
ここで、簡単のため「\(\color{red}{ \tan A = a, \tan C = c } \)」と表すことにすると、上の式は、
$$ – 2ac (1 – a c) = (a+c)^2 $$ $$ \Leftrightarrow 2 a^2 c^2 – 2ac = a^2 + 2ac + c^2 $$ $$ \Leftrightarrow 2 a^2 c^2 = a^2 + c^2 + 4ac $$ $$ \Leftrightarrow 2 \frac{\sin^2 A}{\cos^2 A} \frac{\sin^2 C}{\cos^2 C} = \frac{\sin^2 A}{\cos^2 A} + \frac{\sin^2 C}{\cos^2 C}+ 4 \frac{\sin A}{\cos A} \frac{\sin C}{\cos C} $$ 両辺に \( \cos^2 A \cos^2 C \)をかけることで、$$ \sin^2 A \cos^2 C + \cos^2 A \sin^2 C + 4 \sin A \sin C \cos A \cos C = 2 \sin^2 A \sin^2 C ・・・[2] $$
[2]の式と示すべき[1]の式が見えたので、共通項の\( \color{red}{4 \sin A \sin C \cos A \cos C} \)を消去してもいいですし、次のように式変形もできます。
$$ [1] $$ $$ \Leftrightarrow 2 \sin^2 A \cos^2 C + 2 \cos^2 A \sin^2 C + 4 \sin A \sin C \cos A \cos C = \sin^2 A + \sin^2 C $$ 両辺から\( \sin^2 A \cos^2 C + \cos^2 A \sin^2 C \)を引くと、
(右辺) \( = \sin^2 A (1 – \cos^2 C) + \sin^2 C (1 – \cos^2 A) = 2 \sin^2 A \sin^2 C \)
以上より、\( [1] \Leftrightarrow [2] \) が示されたので、題意は示された。
検算:対称性
本問では、「Bに関してAとCが対称である」という状況に気付ければ、最初から最後まで同値変形する式は全て
aとc、 または、AとCに関する対称性がある
ことがわかります。
したがって、もし対称性が崩れた式が途中で出てきた場合は、そこで式変形を間違えたと推測できます。
「対称性」という検算の手段はこういった場面でかなり発揮されるので、是非覚えておいてください!



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