【応用編】分野別検算:座標

7月 20, 2020

今回のテーマは「座標」です!

座標といっても、本当に様々な問題がこの名前のもとで扱われているので正直問題選びは悩ましいものでした

この記事では(2)に「軌跡と領域」の問題が登場しますが、その解法は今回のメイン(※目次参照)ではないので、(2)の軌跡と領域については別記事で紹介したいと思います!

今後はこの問題の他に多くの座標平面問題を扱っていく予定なので、乞うご期待!^^

問題

Oを原点とする座標平面において、円:\(x^2+y^2=4\)の外部の点Aからこの円に2本の接線を引き、その接点を\(P,Q\)とする。線分PQの中点を\(M\)とし、\(M\)の座標を\((s,t)\)とする。
(1) 点Aの座標が\((a,b)\)であるとき、\(a,b\)を用いて、点Mの座標\((s,t)\)を表しなさい。
(2) 点Aが直線:\(2x+3y=12\)上を動くとき、点Mの軌跡を求めなさい。

(12 東京理科大・工)

方針の決め方:(1)のみ

Mの座標を求めるところまでは、そこまで大変そうではありませんね。
点Mは線分OA上にあって傾きはわかっているので、円と接線の関係から線分OMの長さを求めれば解けます。

方針を考えるにあたって重要なことですが、「なんとな〜く」よりも下記の①〜③を実践してみることをオススメします!

方針の決定

求めるものを明確にする
【今回】求めるものはMの座標


② 相性などを考えつつ、模索
・求めるものに近く考えやすい道筋を探す
【今回】傾きが分かっているから、線分OMの長さを求めればいける!

・問題との相性を考える
【今回】円と接線が登場しており、合同な三角形相似がみえる!

③ 必要あれば②を何回かくりかえし、方針を定める
【今回】線分OMの長さを求めるなら、幾何との相性が良さそう

解答:(1)のみ

\(\bigtriangleup{APO},\bigtriangleup{AQO}\)について、

\(OA\):共通
\(OP=OQ=2\)(円の半径)
\(\angle{APO}=\angle{AQO}=90°\)と三平方の定理より、\(OP=OQ\)

から、3辺共通より\(\bigtriangleup{APO} \equiv \bigtriangleup{AQO}\)である。

したがって\(\bigtriangleup{APO},\bigtriangleup{PMO}\)について、

\(\angle{APO}=\angle{PMO}=90°\)
\(\angle{AOP}=\angle{POM}\)(共通)

から、2角共通(つまり全角一致)より\(\bigtriangleup{APO} \sim \bigtriangleup{PMO}\)となる。

以上より、$$OM:OP=OP:OA $$ $$ \Leftrightarrow OM=\frac{OP^2}{OA} = \frac{4}{\sqrt{a^2+b^2}}$$したがって、傾きに注意して、$$ \vec{OM}=\frac{OM}{OA} \vec{OA}=\frac{4}{a^2+b^2}\vec{OA}=(\frac{4a}{a^2+b^2},\frac{4b}{a^2+b^2}) $$

検算:対称性、代入

今回の問題では、いくつかの検算方法が考えられます。もちろん、試験のときに全てを実践する必要はなく、その場で思いついたものを1,2個使えられれば上出来だと思います!

対称性

前々記事の「ベクトル」(リンクはこちら)でも取り上げている内容ですが、本問の点Aの座標\((a,b)\)では、登場している円の特殊な対称性ゆえ、x座標もy座標も対等です

つまり、答えの点Mの座標においては、\(\color{red}{a,b}\)に関する対称性が見られることが期待できます。

代入

この検算は様々な場所で登場していますが、\(a,b\)を極端に(都合よく)設定したときに、代入した結果が納得のいく値になっている必要があります。

【例1】:\((a,b)=(2,0)\)のとき、解答の式より\(M(2,0)\)

点Aも点P,Qも点Mも一致するので\(M(2,0)\)

【例2】:発展(一応理系)
\(b=0\)として、\(a\)を限りなく大きくしていったとき、

・直感的な値

無限遠から伸びる2本の(ほとんど)平行な直線が円の上下に接する→接点の中点は\(M(0,0)\)

・数学的な値:Mの\(x\)座標の極限

$$ \lim_{a \to \infty} \frac{4a}{a^2+0^2}=0 $$

より、数学的な値と直感的な値が一致します。これが極限のチカラです!ですが、極限とは「限りなく近づく」という意味を持つので、実際に\(M(0,0)\)が実現することとは別の話であることに注意してください。

(注意)人間の直感は錯覚に弱いので、場合によっては直感と数式が一致しません…

今回のメインテーマ:極線(別解)

実は実は、今回紹介したいメインテーマは…「極線」です!

この考え方は、「共有点の数式表現を介さない」ため、座標計算が煩雑な問題では強力な助っ人となりえます。

どういうことか実際に見ていきましょう!

極線を用いた(1)別解

【目標】直線PQ(本問における極線)の方程式を求め、直線OAとの交点であるMを求める。

座標を\(P(p_x,p_y),Q(q_x,q_y)\)とおくと、円:\(x^2+y^2=4\)の点 P,Qにおける接線の方程式はそれぞれ、$$p_x x+p_y y=4 $$ $$q_x x+q_y y=4 $$

これらの接線はともに点Aを通るため、$$ p_x a+p_y b=4$$ $$q_x a+ q_y b=4 $$

(いきなりですが)ここで直線:\(\color{red}{ax+by=4}\)を考えると、上の2式よりこの直線は2点P,Qを通る2点を通る直線は1つに定まるので、これが求める直線PQに他ならない

したがって、直線PQと直線OAの式を連立して、 $$ ax+by=4 $$ $$ y=\frac{b}{a}x $$ より、$$ M(\frac{4a}{a^2+b^2},\frac{4b}{a^2+b^2}) $$

感想

なぜか感想欄を設けてしまったわけですが、2点P,Qを通る直線が、P,Qへ引いた接点の座標を用いて表されるのはとてもエレガントですね!極線のみならず、2図形の交点を通る図形の考え方はといい、これも大学入試でしばしば活躍していますので、また紹介できればと思っています。