式と証明:同値変形を味方につけよう!
数学で「同値変形」は欠かせません。与えられた条件と同じ内容を主張しているからこそ解答ができ、整然とした答案になります。
しかし、正確な式変形ができないと、式の内容もズレ、それ以降の答案は時間と労力の無駄になってしまいます。
そこで今回は、これまでぼんやりとしか同値変形・式変形をしてこなかった方に向けて「同値変形のイロハ」を伝えようと思います。
よくある間違い
よくある間違いをみながら、同値変形の基本をおさえていきましょう!
【例1】次の連立方程式を解け。
$$ \left \{\begin{array}{1} y=x^2・・・(1) \\ y=2x・・・(2) \end{array} \right. $$ 解答:両辺から\(y\)を消去して、\(x^2=2x\)より、\(x=0,2\)
\(y\)を消去する方針と\(x\)の値は合っていますが、同値変形にはなっていません。文字消去のときは式の数が減ってしまうということがよくあり、注意が必要です。
【例2】次の方程式を解け。
$$ \left| x+3 \right|=2x $$ 誤答:両辺を2乗して、$$ x^2+6x+9 = 4x^2$$ $$ \Leftrightarrow 3(x+1)(x-3)=0 $$ $$ \Leftrightarrow x=-1,3 $$
この間違いには「常識的な検算」でも気づくことはできますが、|絶対値| = \(2x\) という形から、\(x\)は0以上です。両辺を2乗するときは、両辺が0以上でないと同値性が崩れてしまうことを覚えておきましょう。
正しい同値変形の進め方は?
では、どのようにして変形を進めていけばいいのでしょうか?
ポイントは2つあります。
① 式の情報を減らさない (使った式を残す)
② 式どうしを足し引き掛け割り等で絡めていく
同値変形の矢印の記号「\( \Leftrightarrow \)」が両側に矢印を伸ばしていることに注目してください。これは、「変形後の式から変形前の式を全て得ることができる」ことを意味します。
【例1】の式変形後の\(x^2=2x\)という式のみからは冒頭の2式:\(y=x^2,y=2x\)を得ることができません。情報が減ってしまっています。これは使った式を残すことで解決できます。
正しくは、
【例2】次の方程式を解け。
$$ \left\{ \begin{array}{1} y=x^2・・・[1] \\ y=2x・・・[2] \end{array} \right. $$ 正答:与式を同値変形していくと、$$ [1], [2]\color{red}{\Leftrightarrow} \left\{ \begin{array}{1} x^2-2x=0・・・[1]-[2] \\ y=2x・・・[2] \end{array} \right. $$ $$ \color{red}{\Leftrightarrow} \left\{ \begin{array}{1} x(x-2)=0・・・[1]-[2] \\ y=2x・・・[2] \end{array} \right. $$ ゆえに、求める解は\((x,y)=(0,0),(2,4)\)
違いは一目瞭然ですが、[2]の式がそのまま残されていますね。一見ムダに見えますが、この[2]があるおかげで
・同値性が保たれており
・また解答の\((x,y)\)が得られ
・変形後の[1]-[2]と[2]の2式から元の[1]と[2]を復元できます(足せばいいだけですね^^)
まとめ
みなさんが【例1】で同値変形をせずに文字消去して得られた「\(x=0,2\)」を、おそらく問題の[1],[2]のいずれかに代入して解答を出していたのは、実は「結果的に」同値なことを行っていたのですね!
「できてるならいいじゃないか!」と言いたくなりますが、これは簡単な問題だから間違え方もあまりないのです。
しかし軌跡と領域の問題など、少し問題設定や式が複雑になってくると、自分が何をやっているかをはっきり把握していないとどんどん情報を落としていってしまいます。
まずは今回の【例1】【例2】といった易しめの問題から同値変形の形式に慣れて練習を積んでいくことで、最終的に難問を前にしても進むべき道を見失わない力がつくのではないかと考えております!
練習問題(軌跡と領域)
せっかくなので、「分野別演習:図形と方程式(軌跡)」で登場する同値変形を紹介してから終わります。
この記事は「同値変形」の記事なので、同値変形を全面に押し出して解答していきます^^
\( [1]^2+[2]^2・・・X^2+Y^2=\frac{16}{a^2+b^2} \)なので、
$$ \left\{ \begin{array}{1} X=\frac{4a}{a^2+b^2} ・・・[1] \\ Y=\frac{4b}{a^2+b^2}・・・[2] \end{array} \right. $$ $$ \color{red}{\Leftrightarrow} \left\{ \begin{array}{1} a=\frac{X(a^2+b^2)}{4} ・・・[1] \\ b=\frac{Y(a^2+b^2)}{4} ・・・[2] \end{array} \right. , a^2+b^2≠0 $$ 【注意】\(a^2+b^2\)を分母から払っているので、\(a^2+b^2≠0\)という条件が消えてしまわないように付け加えています。
$$ \color{red}{\Leftrightarrow} \left\{ \begin{array}{1} a=\frac{4X}{X^2+Y^2}・・・\frac{[1]}{[1]^2+[2]^2} \\ b=\frac{4Y}{X^2+Y^2} ・・・\frac{[2]}{[1]^2+[2]^2} \end{array} \right. , X^2+Y^2≠0 $$
最終的に得た式は \(\frac{[1]}{[1]^2+[2]^2}, \frac{[2]}{[1]^2+[2]^2}\)であり、この2式と(X,Y)≠(0,0)の条件から[1],[2]は復元できます(同値)。





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