【実践編】分野別検算:確率・数列

7月 31, 2020

今日は「確率・数列」の実践編です!

複雑な問題に取り組む際の実践的なアドバイスなどを伝えていけたらと思います。

数列にまだそこまで慣れていない方は「【基礎編】数列」を読んでもらえれば数列の登場する別解をなんとなーく理解して頂けると思います。

問題

サイコロを\(n\)回投げて、\(xy\)平面上の点\(P_0,P_1,…,P_n \)を次の規則によって定める。
(i) \(P_0=(0,0)\)
(ii) \(1≦k≦n\)のとき、\(k\)回目に出た目の数が1,2,3,4のときには\(P_{k-1}\)をそれぞれ東、北、西、南に\((\frac{1}{2})^k\)だけ動かした点を\(P_k\)とする。また、\(k\)回目に出た目の数が5,6のときには\(P_k=P_{k-1}\)とする。ただし、\(y\)軸の正の向きを北とする。
このとき、以下の問いに答えよ。

(1) \(P_n \)が\(x\)軸上にあれば、\(P_0, P_1, …, P_n \) も全て\(x\)軸上にあることを示せ。
(2) \( P_n \)が第一象限{\((x,y) | x>0, y>0 \)}にある確率を\(n\)で表せ。

(1)

方針

(1)を見たときに、平面上の点が\((\frac{1}{2})^k\)だけ移動することを思い出せたでしょうか。

ご存知の方も多いかと思いますが、公比1/2の等比数列の和は、初項の2倍より少し小さいことが利用できそうです。

そうでなくても、小さい\(\color{red}{n}\)で実験してみると少しわかってくると思います。

つまり、一度軸から踏み外してしまうと、それ以降いくら頑張っても戻れないといったイメージになります^^
(解答の赤字が上のイメージを反映した記述になっています)

また、証明については点\(P_0, …,P_n \)全てについて示すよりも、対偶を示す方がラクでしょう。

解答

方針

命題の対偶:「\( P_0, …, P_n \)のうち少なくとも1つが\(x\)軸上にないとき、\(P_n \)は\(x\)軸上にない・・・(⭐︎)」ことを示す。

\(P_0,…, P_n \)のうち、少なくとも1つが\(x\)軸上にないとき、\(\color{red}{x}\)軸上にないもので最も番号が小さいものを\(P_i (1≦i≦n) \)とする。\( i=n(=1) \)のとき(⭐︎)は成り立つので、\(n≧2\)とし、以下\(1≦i≦n-1 \)で考える。

このとき、\(P_i \)の\(y\)座標の絶対値は\( (\frac{1}{2})^i \)であるが、それ以降の点の\(y\)軸方向の移動幅の合計最大値は $$ (\frac{1}{2})^{i+1} + (\frac{1}{2})^{i+2} +…+ (\frac{1}{2})^n = (\frac{1}{2})^i \color{red}{ – (\frac{1}{2})^n } < (\frac{1}{2})^i $$ であるので、\(P_n\)の\(y\)座標が0となることはない、つまり\(P_n\)は\(x\)軸上にない。

以上より、命題の対偶が示されたので、題意も示された。

検算

証明問題で検算というのは少し変な気がしますが、\(n=2,3,4\)あたりで少し実験してみると、確かにあと少し(\(\frac{1}{4}, \frac{1}{8}, \frac{1}{16}\)など)で戻ってこれないことが掴めます。

実践にむけて

・まずは、どの問題でもそうですが困ったら実験!イメージを掴むのには重要なプロセスです。

・また、証明問題で大事なこととして、

解けなくても次の問題に活かせる

ということがあります。つまり、(1)が証明途中で終わってしまっても、まだ(2)を正解できるチャンスがあります。なので、諦めずにこの誘導を(2)で上手く利用しましょう!


(2)

方針

(1)が明らかに誘導になっているので、それを利用しましょう。(1)は\(x\)軸のお話ですが、これは\(\color{red}{y}\)についても同じことが言えそうです。

一度軸から外れてしまった点が軸に戻ってこれないということは・・・?

第一象限に入った点はそれ以降ずっと第一象限の中で動き続ける

これが解決の糸口となりそうですが、この段階であれ?と次のことに気づけた方は鋭いです。

第一象限〜第四象限は全て、対等で確率も等しい

問題が「第一象限」のみである違和感や、対称性に気づけたら、次のような状態に区別できると思います。

3つの状態

A:第一象限〜第四象限のどこか

B:軸上(原点除く)

C:原点

ここで、Cにいる確率はすぐに求まることに注意して解答していきましょう。

解答:確率

(1)より、同じ議論で\(y\)軸上の点についても同じことが言える。したがって、

A:第1〜第4象限、B:\(x,y\)軸上(原点除く)、C:原点

のように\(xy\)平面を分割すると、\(P_n\)がそれぞれの場所にいる確率は、

\((i) \) Cにいる確率は、一度軸を離れたら戻ってこれないことに注意して、5か6のみを出し続ける確率、つまり $$ C・・・\color{red}{ (\frac{1}{3})^n } $$

\((ii) \) Bにいる確率は、いずれかの軸上にいる確率の2倍

\(x\)軸上にいる確率は、1,2,5,6を出し続けるが原点にはいない確率なので、これを2倍して $$ B・・・\color{blue}{ 2 \left\{ (\frac{2}{3})^n – (\frac{1}{3})^n \right\} } $$

\((iii)\) Aにいる確率は、以上より、1から上の2つの値を引いたものである。

ここで、対称性より、\(P_n\)が第1〜第4象限にいる確率は等しいので、求める確率はAにいる確率の\(\frac{1}{4} \)である。したがって、 $$ \frac{1}{4}・\left\{ 1 – \color{red}{(\frac{1}{3})^n} – \color{blue}{ \bigl( 2・(\frac{2}{3})^n – 2・(\frac{1}{3})^n \bigr) } \right\} $$ $$ = \frac{1}{4} \left\{ 1 – 2(\frac{2}{3})^n + (\frac{1}{3})^n \right\} $$

別解:確率漸化式

上のように直接的に確率を求めることもできますが、そのような解答を思いつかないこともありますし、問題から漂ってくる「確率漸化式」の香りに誘われて確率漸化式で解いてしまうのも実践的には全然アリです。

ただし、上の解答より計算は多くなってしまいますが…

【以下解答】


点\(P_n\)がA,B,Cにいる確率をそれぞれ\(p_n, q_n, r_n \)とすると、以下の推移図を得る。

ただし、原点にいる確率は5,6の目のみが出る確率、つまり\(\color{red}{r_n = (\frac{1}{3})^n} \)である

また、1回目の移動後にBにいる確率は1,2,3,4が出る確率なので、\(\color{red}{q_1 = \frac{2}{3} } \)

これにより、次の2式を得る $$ p_n + q_n + (\frac{1}{3})^n = 1 ・・・[1] $$ $$ q_{n+1}=\frac{2}{3}q_n + \frac{2}{3}・(\frac{1}{3})^n ・・・[2] $$

まず、[2]の両辺に\(3^{n+1}\)をかけると、$$ 3^{n+1}q_{n+1}=2・3^{n}q_{n} +2 $$ $$ \Leftrightarrow 3^{n+1}q_{n+1} +2 = 2 (3^{n}q_{n} +2 ) $$ したがって、数列{\(3^{n}q_{n}+2\)}は初項4,公比2の等比数列(\(3・q_1 +2 = 4\))なので、$$ 3^{n}q_{n} +2 =4・2^{n-1} $$ $$ \Leftrightarrow \color{red}{ q_n = 2 \left\{ (\frac{2}{3})^n – (\frac{1}{3})^n \right\} } $$ これと[1]を合わせて、求めるのは\(\color{red}{\frac{1}{4}p_n } \)であることに注意すると、$$ \frac{1}{4}p_n = \frac{1}{4} (1- (\frac{1}{3})^n – q_n) $$ $$ = \frac{1}{4} \left\{ 1 – 2(\frac{2}{3})^n + (\frac{1}{3})^n \right\} $$

この数列の計算は、下の基礎編で紹介している(1)と(3)の問題の融合です。本解に比べると計算が少し厄介となっている理由にもなっているんですね。

検算

「一般項」を求める問題でよくある検算方法は、「小さい値で検証」です。

\(n = 1,2 \) のとき、第一象限にいる確率はそれぞれ\(0, \frac{1}{18} \)となり確かに一致する

他にも、小さい値でA,B,Cにいる確率を検証してみてもいいかもしれません。