【応用編】分野別検算:ベクトル
今回のテーマは「ベクトル」です!
入試でも頻出のテーマであり扱いがなかなか簡単にいかないベクトルの処理を、大学入試問題を通してみていきましょう!
また、今回の問題にはこれまで紹介してこなかったその他の検算方法(対称性・次元解析)も盛り込んでいますので、ぜひ習得していってください!
問題
\(\bigtriangleup{ABC}\)において、\(BC=a,CA=b,AB=c\)とおく。また、\(\bigtriangleup\)ABCの外心を\(O\)、内心を\(I\)と置き、外接円の半径を\(R\)とおく。
(14 信州大・医-後)
$$ (1) \vec{OI}=\frac{a\vec{OA}+b\vec{OB}+c\vec{OC}}{a+b+c} を示せ。$$ $$ (2)\left|\vec{OI}\right|^2=R^2 – \frac{abc}{a+b+c}を示せ。$$
方針
本問のように、式や条件設定に対称性が見られる場合は、その対称性を崩さないように問題を扱っていくことが考えられます。
(1) 問題文にも\(\vec{OA},\vec{OB},\vec{OC}\)が登場しているため、解答でもこれらのベクトルを使用して進めていきます。
(2) 外接円の半径\(R\)が登場しているため、正弦定理が自然な発想ですね^^
解答

(1) 内心の性質を利用します。
内心は、三角形の各頂点の角の二等分線上にある点です。
\(\angle{BAI}=\angle{CAI}\)なので、直線\(AI\)と辺\(BC\)の交点を\(D\)とすると、次の式を得ます。$$ \vec{AD}=\frac{b}{b+c}\vec{AB}+\frac{c}{b+c}\vec{AC} $$ $$ BD:DC=c:b, BD = \frac{ac}{b+c} $$
また、\(\bigtriangleup{ABD}\)において\(\angle{ABI}=\angle{DBI}\)なので、\(AI:ID=BA:BD=b+c:a\)に注意すると、$$ \vec{AI}=\frac{b+c}{a+b+c}\vec{AD}$$ $$=\frac{b+c}{a+b+c}(\frac{b}{b+c}\vec{AB}+\frac{c}{b+c}\vec{AC}) $$ $$ = \frac{b}{a+b+c}(\vec{OB}-\vec{OA}) +\frac{c}{a+b+c}(\vec{OC}-\vec{OA})$$
\(\vec{AI}=\vec{OI}-\vec{OA}\)により、\(\vec{OI}=\frac{a\vec{OA}+b\vec{OB}+c\vec{OC}}{a+b+c}\)
(2) 正弦定理に登場するのは\(R,\sin{A},\sin{B},\sin{C},a,b,c\)ですが、(2)の示すべき式には\(\color{red}{R,a,b,c}\)しか現れていません。したがって、正弦定理を用いて三角関数を消去する方針で考えていきましょう。
(1) の式の両辺を二乗すると、\(\left|\vec{OA}\right|=\left|\vec{OB}\right|=\left|\vec{OC}\right|=R\)より
\((a+b+c)^2\vec{OI}=(a^2+b^2+c^2)R^2+2ab\vec{OA}\cdot\vec{OB}+2bc\vec{OB}\cdot\vec{OC}+2ca\vec{OC}\cdot\vec{OA}\)
\(=(a+b+c)^2R^2-\bigl(2ab(R^2-\vec{OA}\cdot\vec{OB})+2bc(R^2-\vec{OB}\cdot\vec{OC})+2ca(R^2-\vec{OC}\cdot\vec{OA})\bigr) \) ここで正弦定理より、$$ 2R=\frac{a}{\sin{A}}=\frac{b}{\sin{B}}=\frac{c}{\sin{C}} $$したがって\(\angle{AOB}=2\angle{ACB}=2C\)(円に内接する三角形の性質)と合わせて、$$R^2-\vec{OA}\cdot\vec{OB}=R^2(1- \cos{2C})=2R^2\sin^2{C}=\frac{c^2}{2}$$であり、他の内積も同様に考えると、$$ (a+b+c)^2\left|\vec{OI}\right|^2=(a+b+c)^2R^2- (a^2bc+ab^2c+abc^2)$$ $$=(a+b+c)^2R^2-abc(a+b+c)$$ $$ \Leftrightarrow \left|\vec{OI}\right|^2=R^2-\frac{abc}{(a+b+c)}$$
検算:対称性・次元解析
今回の問題は証明問題なので、証明が終われば大枠は正しい可能性が高いです。
そこで、今回は途中途中で計算があっているかを確かめる術として、対称性・次元解析があります。
対称性
(1)、(2) も共に\(a,b,c\)に関して対称性が見られます。特に(2)の解答では対称性を保ちながら処理しているので、途中で$$ (a+b+c)^2 \left|\vec{OI}\right|^2= (a+b+c)^2R^2 -(a^{2}bc+ab^{2}c+\color{red}{2}abc^{2})$$といった対称性の保たれていない式が出てくると、間違えている可能性がかなり高いと思われます。
次元解析
本問では\(R,a,b,c\)が長さの単位として登場しています。これらを利用して、両辺の次元が一致しているか確認することができ、分子や分母・次数のミスなどを検出することができます。
【例】$$ \left|\vec{OI}\right|^2 = R^2 -\frac{abc}{\color{red}{(a+b+c)^2}} $$ の場合だと、次元は
$$ \frac{abc}{(a+b+c)^2}:\frac{長さの3乗}{長さの2}=(長さ\color{blue}{1乗})$$
となりますが、(左辺)や右辺の\(R^2\)は長さの2乗の単位なので、一致しません。






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